天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

『楽園』(3)

 今日から二泊三日で兵庫県三田に出張する。『楽園』を新幹線の中で読みきった。なんともエネルギッシュな技法の展開である。


D 言いさしか倒置か(いずれも藤原が頻用する手法だが、区別する
  必要あり)
  月と日と流れる迅さ文才とよばれるほどの才のうつろに
  またとなけめ 終の至福の呪文にて純粋の毒呷りたけれど
  Let it be! 頭の中にくりかえし石の廊下の隅の消火器
  形而上学的ねじれあらばこそゆりかもめその汐溜新駅


E 二重掛かり
  ついに死に至らざる詩に至らざる徒食ああそれはBeautiful Life
     ←−−−−−→
           ←−−−−−−→
  モダニズム 十日替りのステージに綺羅めく星は菫はブリキ
                  ←−−−−−→
                        ←−−−→


F 連想あるいは関連付け(どのように鑑賞するか、読者によるので
  面白くなる)
  モダニズム 十日替りのステージに綺羅めく星は菫はブリキ
  コミュニズム 二世市川左団次の声音響く「ウラア!ハラショイ!」
  ナショナリズム 白木屋の火事、金メダル、最後ノ伝令死シテ
  ノチ闇



     沢蟹が卵かかへる遠花火
     人類のルーツを思ふ晩夏かな