天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

信長と伴天連(続)

 フロイスの『日本史3ー織田信長編』は、ちょっと見ると日本語訳が読み難く、とっつきにくいが、丁寧にたどっていくと内容がなかなか面白い。はまりそうである。
 信長の息子たちや家臣たちは、宣教師からキリスト教の教えを受けて感心したが、ただひとつ都合の悪い戒律があった。「汝、姦淫するなかれ」である。これに特に拘ったのが、信長の長男・信忠
だったらしい。この戒律を緩めたら、信者数が倍増するぞと宣教師たちに熱心に説いた。無理もない。中国でも日本でも王者たるもの子孫を多く持つことが、いわば義務であった。一夫一婦制では間尺に合わなかった。まして戦国時代には、子供を人質に差し出すといった政略が一般化していたので、子供が少ないと一国の存続が危うくなる。
 宣教師たちは、デウスが決めた戒律なのでかってに緩めるわけにはいかなかった。今となっては愉快な話である。