天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

直感で読む

 飯田龍太の残した言葉を見ていたら、「俳句の選句においては、見たときに、ぱっと心に響いたものを大事にする」とあった。このでんで、「俳句研究」五月号の初めのほうを読んでみたら、以下の作品に心が動いた。


    ろくぐわつのうつたうしきは麦粒腫(ものもらひ) 八田木枯
    *ひらがなと座五の漢字の取り合わせが面白い。


    春の水とろりと朽木沈めをり       今井千鶴子
    *中七の措辞が春の水の感じをよく表している。


    水中にゆらぐ日ざしや春鯰        倉橋羊村
    *これも春の水の中の鯰の様子が見えるようだ。春先の田水の
     中でよく見かけたものだ。


    闘鶏や出を待つ肩を聳えしめ       藤木倶子
    *「肩を聳えしめ」が情景をよく描写している。ただ、
     既視感のある言い方ではある。


    白墨の函に花びら舞ひきたる       友岡子郷
    *HaKuBoKu No| HaKo Ni HaNaBiRa| MaHi KiTaRu
     auou o| ao i aaia| ai iau  というように「a」
     音の頭韻と繰返しが、明るい教室を思わせて心豊かになる。


    耳動く人が混じって春炬燵        坪内稔典
    *何人も集って炬燵に入っていると、こんな人いるよなあ。