天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

直感で読む(続)

 「俳句研究」五月号には、第7回現代俳句大賞受賞記念第1作として、受賞者・和田悟朗の作品20句が掲載されている。他に掲載されている俳人の作品と比べてみると力量のほどがわかるが、
以下にいくつかコメントしてみる。


機知で読ませるもの
    梅咲けり地球の裏に誰か居て
    *言われれば、確かに地球の裏側にも人は住んでいるよね。


    散るさくら色は消えつつ過去へ散る
    *時は止まることなく、過去へ過ぎ去る。よって未来へ
     散ることはない。


    直線は曲線である春の丘
    *春の丘の稜線を見ていて思った、直線は曲線の特別な
     場合なのだと。


連作として読めるもの
    人は逝きわれら残りぬ諸葛菜
    ふとひとつ星の輝く春夕べ
    *これら二句の前に三句あって、「身辺に逝去多し」との
     前書きがある。春の夕べにふと輝き始めたひとつの星は、
     今日逝った人の魂なのだ。


疑問符が付くもの
    牡丹の芽時の流れを今と言い
    *「今」を「過去」と置き換えてももっともなので、
     説得力に欠けるのでは?


素直に良いと思うもの
    火渡りを終えてそのまま春の土
    わが胸に草原萌えて平らなり