天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

向日葵

沿道の向日葵

 北米原産のキク科の一年草。種子は20%〜30%の油を含む。このため最近は、トウモロコシと並んで、石油に代わる燃料エタノールの原料として注目を浴びている。



      向日葵の蕊を見るとき海消えし  芝不器男
      向日葵に剣の如きレールかな   松本たかし
      向日葵や信長の首斬り落とす   角川春樹


  向日葵は金の油を身にあびてゆらりと高し日のちひささよ
                      前田夕暮
  道化師と道化師の妻 鉄漿色(かねいろ)の向日葵の果(み)を
  へだてて眠る              塚本邦雄 
                      

 昨日は、短歌人の七月横浜歌会があり、たまたま題詠が「ひまわり」であった。参加者全員の題詠歌を次にあげる。作者名はあえて伏せるが、わが歌を最後にあげておく。


  「ひまわり」の映画のようなひまわりの畑をあるく頭もたげて 
  ユニクロで向日葵色を買い求む牛の腹かくす流行りのチュニック
  それぞれの思惑ありてひまわりは夏のをはりの傾ぎ深くす   
  ひまわりを描きて表題「夏」とせむすざりて眺むるいびつな形 
  六月のうちから咲いておどろいてまじまじと見る畑のひまわり 
  ひまわりが校舎の裏でまっくろに枯れて迎えた九月一日    
  戻りたい過去などは無いなまなかな若さ無礼に過ぎず ひまわり


  野に山に向日葵咲かば狂ほしも石油に替はるエタノールあり