天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

沢瀉

鎌倉・長谷寺にて。

 おもだか、と読む。オモダカ科の多年草。中国原産で平安時代に渡来。この葉を家紋にデザインした戦国武将や大名がいた。


  鷺に似てひと花すいと水をぬく青藺のなかの
  おもだかの花           佐佐木信綱
                   
  五月雨の築地くづれし鳥羽殿のいぬゐの池
  におもだかさきぬ         与謝野晶子
                  
  沢瀉は水の花かもしろたへの輪生すがし雷遠くして
                   小中英之


 五月の鎌倉・長谷は平日でも海外の観光客でにぎわっている。


  長谷寺の水深浅き池に来て亀がゆらせる沢瀉(おもだか)の花    
  藤棚の下にいこへる老人の観光客はみな外(と)つ国の人       
  鐘楼のめぐりに張れるテープには蜂に注意の札さがりたり