天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

河骨

箱根湿性花園にて

 こうほね、と読む。北海道から九州、朝鮮半島の小川や沼にはえスイレン科の多年草水草。水底に横たわる白く硬い太い根茎が骨を連想させるところから、この奇妙な名前がついた。おしべは多数、めしべは一つ。根茎を乾燥したものを川骨(せんこつ)といい、強壮、止血などに効く。但し、自分で試したわけでない。


      河骨の二もとさくや雨の中    蕪村
      河骨にとどめし舟の吹かれ寄る  高野素十


  河骨の花咲く池にかいつぶりしづかに浮きて暑き日の午後
                      結城哀草果
  火の山に夕日なほあり目の前のかうほねの花暗くなりつも
                      川田 順
  河骨の黄の花一つ見出でては満つる心に池めぐりゆく
                      原田 清
  河骨の花は黄にて光り午後の刻水のほとりに移る寂けさ
                      萩山 数