天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

箱根湿性花園

箱根湿性花園

 12月、1月と休園し、今年も3月20日に開園した。この時期は初夏の草花を見ることができる。ヒマラヤの青い芥子の花、九輪草の花、ニッコウキスゲタニウツギコウホネハマナス、ミヤマカタバミ、ノムラカエデ、ワスレナグサ など、とても書ききれない。鶯がよく鳴き、時折、雉がけたたましく啼く。池にはシュレーゲルアヲガエルの声。


  目に沁むる新緑の間にむらさきの桐の花見ゆ箱根路にして
  ヌマエビとアブラハヤ棲む水槽を詳しくのぞく拡大鏡      
  九輪草の花咲く脇に沼ありて黒き背鰭のあまたゆれたり
  湿原の河骨のぞく木道に赤子這はしむ休日家族          
  黄金の色咲きたればむらぎもの心ゆたけし河骨の花        
  シュレーゲルアヲガエル鳴く湿原に歩みとどむる初夏の草花
  早川の玉の緒橋に佇めばひときは高き激つ瀬の音
  たたなはる箱根の山のいく曲がりわが越えくれば青き湖      

  
      山峡に藤房たるる箱根かな
      湿原を雉啼きて翔つ箱根かな
      木道に赤子這はしむ菖蒲(あやめ)かな