天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

尾張に遊ぶ

めだか(熱田神宮路傍にて)

 名古屋に出張した際、久しぶりに熱田神宮の境内を歩いた。本殿は今造営中とかで、幕で隠され背の高い建設機械が動いていた。以下は、電車の車中、新幹線などでの雑詠を含む。



       早苗田や雲霧けぶれる山を背に
       煙突のけむり横這ふ梅雨の空
       窓外にみどりが走る梅雨山野  
       梅雨大河鎮守の杜に迫り来る
       梅雨晴の熱田の杜にかけろ鳴く


  名古屋から豊橋に向けわが走る電車が止まる大府とふ駅
  関東より少し立派な家々が沿線にたつ名古屋郊外
  大楠の根方の洞に卵おく老婆の朝をわがいぶかしむ
  神々の祠鎮まる梅雨の朝高々ひびく拍手の音
  客のなき宝物館の展示室守衛はひとり黙して立てり
  日本書紀の写本に見入るひとときに思ひ出だせり昨夜のいかづち
  あごひげを長く垂らせる千尉はうすわらひして吾を見つめき
  脇指の光にしのぶありし日の悪七兵衛景清の痣
  本殿は造営中なり拍手をうつ気も失せてわがひき返す
  それぞれの神の祠の鎮もれる熱田の杜にかけろ高啼く
  湧水の池の目高はすばしこくデジタルカメラの焦点の外
  湧水の池の目高を写さむと四苦八苦せる吾と知らゆな
  効能をためしてみたきこの暑さ鮫の軟骨スッポン料理
  スッポンは熊坂ノ庄がおすすめか熱田駅前の赤き店内
  不要なる金、プラチナを買取ると聞けどわが家に縁のなきこと
  わが国の行末見むと注視する新幹線のニューステロップ
  新幹線の掛川駅を過ぐるたび小夜の中山思はるるかも
  十五から二十%の値上げあり石州、三州、淡路の瓦
  ウィンブルドンテニスに八百長疑惑あり国際テニス協会の愕
  原油高日本の企業を直撃すされば悪化の国の財政
  飛騨牛とふブランド名に踊らされ泡を食ひにし日本のグルメ