天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

くちなし

円覚寺にて

 アカネ科の常緑低木。六、七月に香のよい純白の花が咲く。実が熟しても口を開かないので、この名が付いたという。


      口なしの花さくかたや日にうとき
                   蕪村
      口なしの花はや文の褪せるごと
                   中村草田男


  夏の日はなつかしきかなこころよく梔子の花も汗もちてちる
                   北原白秋
  山梔子をテラスのくらき雨に置きわれはしりぞく家の内側
                   小池 光