梅雨の坐禅
短歌人・横浜歌会のある日は午前中は、北鎌倉の円覚寺で過ごすことを習慣にしてる。土曜日に引き続き、今日も気分が悪くなるほど蒸し暑かった。それにしても、相変わらず外国人観光客が多いが、この湿度のせいか笑顔は見られない。
梔子の花の垣根に入る雀
お静かに坐禅中とふ夏木立
梔子の咲き疲れたる匂ひかな
紫陽花の下に苔むす墓羨し
炎帝に負けるものかと水を飲む
谷戸の墓地売る人涼む木陰かな
咲き出でて石仏に会ふ桔梗かな
自販機の前を離れぬ幼子のぐづりに負けてジュース買ふ父
「坐禅中、お静かに」と書く紙きれが竿先にあり参道の朝
首伸ばし甲羅を干せる亀見れば池のほとりにはしゃぐ女ら
漱石が鬱を癒せし塔頭の庭のみどりにあそぶ椋鳥
今回の歌会では、題詠は「手帳」であった。それで次の詠草を提出した。
船旅の茂吉が書きし手帳には地中海に見しシシリーの山
特段の批評は出ず、もっぱら茂吉と照子夫人の話題に終始した。
[追伸]自由詠に出した次ぎの歌はさんざんな目にあった。それほどひどくないと思うのだが。
沖縄の長寿の人は泡盛を好むと聞けば心やすらぐ
「沖縄の長寿の人」では一般的なので、海人とか具体的な島の名を入れるとかすべき。これでは散文ではないか? など。