天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

馬酔木

鎌倉・海蔵寺門前にて

 あせび、あるいはあしび はつつじ科の低木。開花時期は 3月10日頃から4月15頃まで。漢字「馬酔木」の由来は、枝葉に「アセボチン」という有毒成分を含んでいて、馬が食べると酔って足がなえるというところにある。万葉集にもいくつか詠まれている。



  磯のうへに生ふるあしびを手折らめど見すべき
  君がありといはなくに          大来皇女
                    
  西の窓の椿咲けば北の窓ひらく朝の光に栄ゆるあしび
                      土屋文明
  来る道は 馬酔木花咲く日の曇りー。大倭し遠き海鳴りの音
                      釈 迢空
  しとどなる雨を吸ひたる紅あしび仄かにふくれ春となりたり
                      稲葉京子


      春日野や夕づけるみな花馬酔木  日野草城