筑波山
常陸国の歌枕。万葉集の時代には、「つくはね」とか「つくはやま」といったふうに清音であったらしい。山頂に男体山(イザナギ)と女体山(イザナミ)の二峰があるので、古来、恋歌に詠みこまれた。
百人一首にある陽成院の次の歌(後撰集)が代表的。
筑波嶺の峯より落つる男女川恋ぞつもりて淵となりぬる
万葉集には、例えば、長歌「衣手 常陸の国の 二並ぶ 筑波の山を 見まくほり ・・・」などと現れる。
筑波嶺のこのもかのもに蔭はあれど君が御蔭にます蔭はなし
古今集・東歌
我ならぬ人に心をつくば山下にかよはむ道だにやなき
新古今集・能宣
年をへて君に思ひをつくば山峰を雲居に思ひやるかな
信明集
また、よく知られたことだが、連歌を「筑波の道」とも呼ぶのは、日本武尊と火焼の翁との掛け合い(古事記、日本書紀)に起源がある。
「短歌人」夏の集会がつくばで開催された際に、良い機会なので登ってきた。行き方は、秋葉原から「つくばエクスプレス」で終点まで乗り、そこから筑波山神社まで直通のバス。