天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蝦蟇の油

筑波山神社にて

 ガマの分泌液を膏剤にまぜて練ったという軟膏で、戦陣の膏薬として用いられた。やけど、ひび、あかぎれ、切傷などに効能があるという。大道に香具師が面白い口上で人を集めて売った。筑波山では、麓の神社や山頂で口上を述べていた。ただ、薬を買う観客は見かけなかった。大道芸として金を集めることもあるのだろうか。最後まで見たことがないので分からない。


      つくば嶺や乳ふふまするケーブルカー
      山百合が岩の間に咲く筑波山
      つくば嶺をわがもの顔に鬼やんま
      夕暮の青田に鷺の白さかな


  つくば嶺は雨雲の中トウカエデ並木に沿ひてバスは走れり
  つくば嶺に霧たちこめて男体も女体も見えずただ蝉の声
  切り傷に効くとふ蝦蟇の油売男体女体の合さる処
  千、万のミツバチがとぶ音すなり霧たちこむるつくば嶺の森
  九十九折風返し峠をバスがゆく霧たちこむる女体山麓