天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ポアンカレ予想証明の認定

わが書棚から

 ユダヤ系ロシア人数学者のペレルマンが、2002年にインターネットで公表した証明が、今になって米クレイ数学研究所が認定した。それだけ証明の検証が困難だったのだ。ちなみに、この研究所は、2000年にポアンカレ予想を含む7つの数学の難問を「ミレニアム問題」として掲げ、各問題に百万ドルの賞金をかけた。


   1.P≠NP予想 
   2.ホッジ予想 
   3.ポアンカレ予想ペレルマンにより解決) 
   4.リーマン予想 
   5.ヤン-ミルズ方程式と質量ギャップ問題 
   6.ナビエ-ストークス方程式の解の存在と滑らかさ
   7.バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想
 
こうした難問にとりつかれた数学者は、一生をかけても解けないことがほとんどであるので、精神に異常をきたすという。問題を解いたペレルマンも世間から離れ、母親と隠遁生活をしていると伝える。数学の世界には不思議なロマンがあるので惹きこまれる。歌人塚本邦雄も惹かれていたか。

  シャンパンの壜の林のかげで説く微分積分的貯蓄學
                     『水葬物語』
  幾何學の截口灼くる いま死なば初夏空間のしづくたるべし
                     『青き菊の主題』
  乳房ありてこの空間のみだるるにかへらなむいざ橢圓積分
                     『感幻樂』
  数学は肺冱ゆるまでさびしきを花鬩(せめ)ぐ白群(びやくぐん)
  のあぢさゐ              『星餐図』


  聯立方程式のまぼろし寒林の遙かにて麦藁色の燈ともる
                     『歌人
  ポワンカレなどなにせむに栂尾(とがのを)の冬苺地にすれすれの實
                     『詩歌變』


  脳髄を使ひはたして解きにけむポアンカレー予想は世俗捨てしむ
  ポアンカレー予想を解きしペレルマン母と暮せり胎児となりて