天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

風車(かざぐるま)

神奈川県山北町・最勝寺にて

 色紙やセルロイドなどを車輪形の羽根として整え、柄をつけたもので、幼児の玩具。古くは「ちごぐるま」とも。春になると藁束に挿して売り歩いた。俳句では春の季語。


    ひとり旋る賽の河原の風ぐるま   千代田葛彦
    背の子をかへり見かざす風車    高田つや女


  妹(いも)が背にねぶるわらはのうつつなき手にさへめぐる風車かな
                     大隈言道
  手にとりて喜び見つる風車めぐりやすきは月日なりけり
                     佐佐木信綱
  児がために求めしならむ風車老いたる兵の吹きほけてゐる
                     香川 進
  祝福はありにけむかも岸に寄る芥のなかの紅きちごぐるま
                     河野愛子
  日を夜をめぐれよめぐれ風車 母はにしかぜ父はきたかぜ
                     武下奈々子


    病癒え地蔵に捧ぐ風車


  村人の病の平癒ことほぎてあまた地蔵がもつ風車