短歌を詠む要諦
小池光の「短歌人」作品月評には、常に注目し、逃さず読んでいる。月評に限らないが、彼の文章はまことに読みやすく、なにより愉快なのである。戦後屈指の文章家と私はかってに評価している。「短歌人」7月号と8月号では、会員1の月評を担当。以下では、小池光が指摘する短歌の要諦を、月評から抽出して箇条書きにしておこう。以前にも幾度かこうしたコメントを要約して紹介しているので、重複があると思うが、大切なこと故、また繰り返す。
・具体、具体、具体を追尋せよ。一般的ではダメ。
・自分を消すことで逆に自分が出る。心得るべき事。
・事実、事実で通す。気の利いたことを言おうとしてはならず。
・ささやかなる物象を発見することが大事。
・寺山修司は、ウソをホントと思わせるのに短歌はもっとも有効と、
どこかでキワドイことを述べていたが。
・自然で情景がすっきりわかる歌がよい。
・人が目もくれぬような対象に「立派」を見いだすこころ、すなわち
歌の核心なり。
・感動するばかりが能でない。無感動こそ時に大切。
・付け足しこそ力量。
・作った歌を何度も舌上に転がす。
・上句で月並み風流を淡々と述べ、結句の大飛躍につなげる。
インパクト抜群。
・何事も過ぎたるは及ばざるがごとしである。特に短歌では。