天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

茶の花

日向薬師にて

 初秋から冬にかけて白色五弁花が下向きに咲く。この白い花、飲み物の原料として利用されることがある。中国では、古くから飲まれていたという。簡単な飲み方は、菊の花と同じように、乾燥した花にそのまま熱湯を注ぐ方法で、若干の酸味がある。


     茶の花の今ひらきたるうすみどり  長谷川櫂


  霜どけに真昼の道はぬかりつつ茶の花白く咲きて匂へり
                    三ヶ島葭子
  ひとつ咲きふたつ咲き継ぐ茶の花に母の悲願を読む母の死後
                    築地正子
  生き急ぐほどの世ならじ茶の花のおくれ咲きなる白きほろほろ
                    馬場あき子
  茶の花のほのかな気配 遠く在りし人は死ののちくきやかに顕つ
                    永田和宏
  茶の花の咲くを見つけしこの朝は心安らぐふるさとの花
                    陣内容子