天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

凌霄花

二宮町吾妻山にて

 のうぜんかずらは、ノウゼンカズラ科の蔓性落葉樹。中国原産の観賞用植物。高さは10メートルにもなる。茎から出る付着根で他のものにからみついて登る。有毒。


     予の国に古りたる温泉宿(ゆやど)凌霄花  富安風生
     のうぜんの茂吉生家に花こぼれ       原 裕
     古廂のうぜんかづらは夜空もつ      加藤楸邨


  虻は飛ぶ、遠いかづちの音ひびく真昼の窓の凌霄花
                    佐佐木信綱
  柩車出づる家声なくて片蔭ののうぜんかづら饒舌に散る
                    蒔田さくら子
  八月のある日の午後の行ないをあわれとぞいう凌霄花
                    岡部桂一郎
  この路地も楽しき初夏の小宇宙のうぜんかづらの花遊びゐる
                    長澤一作