天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ムクロジの実

藤沢市新林公園にて

 ムクロジは漢字で無患子あるいはまれに木欒樹と書く。関東以西の山地に生え、神社や寺の境内にも植えられる。深大寺の無患子は有名。落葉高木で樹皮は白く滑らか。球形の実は十月になると飴色に熟す。黒い種子は追い羽根の玉に使われる。


     深大寺無患子拾ふ十あまり    柴崎忠雄


  無患子の地に落ちたる青き実をいつくしみつつ拾ひあつめぬ
                      土屋文明
  はらからの逢ふは稀なり木欒樹の高き木下にいざなはれ行く
                      岡 麓
  手の取ればぬれぬれとせる無患子の殻に黒き実透けるかそけさ
                      林 義衛
  むくろじの森の冷たさすきとおり魚ともならんひとりを待ちて
                      馬場あき子
  人間(ひと)ならば無愛想なる姿にて樹齢二百年の無患子
                      沖ななも