天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

生命の星・地球博物館

小田原市入生田にて

 この立派な施設は小田原市入生田にある。沿革の説明によると、平成7年(1995年)3月、横浜馬車道の神奈川県立博物館(現:神奈川県立歴史博物館)の自然史部門が独立する形で誕生した。展示のほか、自然に関する調査・研究、資料の収集・保管、これらを生かした講座や観察会など。
 現在、特別展として「水辺に生きる虫たち」(7月16日から11月6日まで)が併設されている。面白いことに水生昆虫を詠んだ俳句を紹介している。


     代掻けばおどけよろこぶ源五郎    富安風生
     春水や蛇籠の目より源五郎      高野素十
     まひまひの廻りつづけて生きてをり  伊藤政美
     まひまひの小さき渦巻月のそば    高野素十
     夕暮の小雨に似たり水すまし     正岡子規
     水馬かさなり合うて流れけり     内藤鳴雪
     尻立てて泳ぎ流るる田亀かな     浅原鴨石


 台風十二号が去った後の気候は、気温が高くても湿度が低くなったせいか、心地よい秋風を感じる。


     入生田や蝉鳴きしきる山神社
     秋風の入生田に食ぶ普茶の椀
     田亀はやトノサマガエルの腹を吸ふ


  園児らにつづきてめぐる「生命の星・地球博物館」にきて
  灼熱の地中にありて色付きし光放てる紫水晶
  切り出せしアンモナイトの地層など壁一面に張りて展示す
  地に海にかつて在りける姿とし恐竜、マンモス、鯨の骨格
  イクメン」の札のかかれる水槽にタガメはまもる木端の卵
  つぶつぶの卵を背中にはりつけてタガメモドキは水中をゆく
  死に際の蛙の腹を食ひやぶり肉汁すする源五郎
  近づける人に向かひて牙を剝く姿のままにニホンオオカミ