天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

稲架(はざ)

横浜市舞岡公園にて

 刈り取った稲を掛けて干すもの。丸太や竹を組み上げたり、立木に横木を渡したものなどがある。はさ、稲掛、稲木 などとも。


     稲架かけて対馬に神の山いくつ   大谷弘至
     山深きわづかな空に稲架掛けて   大谷弘至


  あきつとぶ門田のくろの稲掛のかなたに青き小筑波の山
                      太田水穂
  古への阿騎の大野は稲架つらねし刈田にすこし人の働く
                      柴生田稔
  大まかに組みしはさ木も上ふさの生きざま見せて布田へ
  行く道                 田谷 鋭


  野麦峠の道としきけばかなしきに稲架乾く野を峠までは
  ゆかず                 北沢郁子


  夜の水にひびきて稲架の撓(しな)ふ音しづかにわれを
  取り戻しゆく              大西民子


 稲架の下にも稲雀が集まってくる。


     豊作をよろこぶ谷戸の稲雀
     人くれば林に隠れ稲雀