天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

梅雨雑詠(2)

小田原城にて

 小田原城の庭には、紫陽花と花菖蒲が咲いていた。驚いたことに駐車場だったところを閉鎖して、発掘調査が始まっていた。御用米曲輪の整備だという。この曲輪には、徳川幕府のための米などを蓄える蔵が6棟あった。調査の結果、法面の裾に溝を持つ御用米曲輪の縁辺部や関東大震災で崩落したと見られる石垣の一部を確認したという。


     御用米曲輪の調査梅雨に濡れ
     梅雨湿り猿の親子の毛繕ひ
     紫陽花や城の石垣隠したる
     小田原の雀が見上ぐ花菖蒲
     あぢさゐの青の間に見ゆ天守
     遊園地汽車に紫陽花揺れにけり
     石垣に群るる紫陽花天守

     
  御用米曲輪の跡を調べむと小田原城の駐車場を掘る
  筆かまへもの書かむとする尊徳の銅像見ればわが心急(せ)く
  大山の影をうすめて濁りたり梅雨にけぶれる丹沢の空