天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

噴水

寒川神社境内にて

 古代からあり、前一世紀のアレクサンドリアのヘロンは、サイフォンの原理を応用して噴水を考案したことで知られている。日本には明治初期に初めて設置されたという。ずっと古く奈良時代にもあったのでは、と思うのだが。


     おなじ丈ほどの噴水子の死後も  北 光星
     噴水となる軽い水重い水     後藤立夫


  噴水は疾風にたふれ噴きゐたり 漓々(りり)たりきらめける
  冬の浪費よ              葛原妙子


  自らの重みに落つるあこがれて舞ひのぼりつつあはれ噴水
                     安田章生
  八月の夕刻とほき噴水は木の間がくれに苦役のごとし
                     小中英之
  噴水の水に時のまの虹立てば如何ならん明日わがために待つ
                    尾崎左永子
  夏空の楽器さながら穂をゆらし音色かなでるこれぞ噴水
                     清田秀博
  噴水に乱反射する光あり性愛をまだ知らないわたし
                     小島なお