天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

落花生

わが食卓より

 マメ科一年草。南米の中央高地が原産。江戸時代初期に渡来したらしい。花の基部が伸びて地中にもぐり込み莢を結ぶところから命名された。晩秋に実を掘り上げて収穫する。タンパク質と脂肪を多く含む。秋の季語。傍題に南京豆、ピーナッツ。


     落花生喰ひつつ読むや罪と罰       高浜虚子
     ベートーヴェン聴くと掌に分け落花生  中村草田男
     落花生干す山はなの休み窯        築田圭子
     南京豆むきて貧しき詩に憑かれ      福田蓼汀
     落花生みのりすくなく土ふるふ     百合山羽公
     干し落花生叩く老婆の朝はじまる     加倉井秋を
     落花生からから鳴りてもがれけり     斎藤雨意
     落花生のここが潜つてゆく部分      岩田由美


  ピーナッツをさみしき馬に食わせつついかなる明日も貯えはせず
                         寺山修司


[参考] 寺山修司は、ネフローゼで入院中、同室の韓国人から競馬と賭博を学んだ。
    退院後、足繁く競馬場に通うようになり、競馬エッセイを書き始めそれが人気
    を博した。ユリシーズの馬主にもなった。