天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

たまご

わが食卓より

 日常的には鶏卵をさす。良質のタンパク質を含み、卵黄は脂肪、ビタミンA,B1,B2に富む。ニワトリの品種により白殻と赤殻がある。各種の料理に、また菓子の材料に使用される。


  買ひ持てる卵は孵(かへ)すすべなきに心羞(やさ)しく
  いたはりてゆく           富小路禎子


  もみ殻に積まれつつゐて各々の卵の内部灯れるごとき
                     三國玲子
  みごもれる人より買ひし鶏卵が次第にわれにおもし夜道に
                     真鍋美恵子
  店頭の卵が孵りゆく不安動くともなく移る陽ざしに
                     志垣澄幸
  内よりの力に割れし卵かと籾殻を分けてゐる手が怯(ひる)む
                     大西民子
  一粒の卵のような一日をわがふところに温めている
                     山崎方代