天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大根

わが身辺から

 年中食べている感じであるが、冬の野菜。正確にいうと、冬に収穫するのは、秋冬大根。他に春大根、夏大根がある。春の七草の「すずしろ」は、大根のこと。文字通り「おおね」とも言った。おでん、風呂吹、鰤大根などさまざまな料理に使われる。


     大根に実の入る旅の寒さかな    園女
     霜のつくほり大根を貰ひけり   松瀬青々
     大根で流れを止めて大根洗ふ   宮川豊治
     大根の土大根で擦り落す    松本七曜子


  母の抜きし大根の穴に雪降りぬ雪よりほかに埋むる
  ものなし              青井 史


  大根が身を乗り出してうまさうな肩から胸までを土
  の上に晒す             奥村晃作


  軒に吊りて白くうつくし内灘の主婦が砂畑になりし
  大根                芦田高子


  大根と人参床にころがれり大根は白人参は赤
                    石田比呂志
  新しき橋に夕靄立つときを泥つきの大根さげて帰り来
                    安部洋子
  大根を探しにゆけば大根は夜の電柱に立てかけてあり
                    花山多佳子
  何を思ひ逃亡図りし大根かふとぶとと足二本をつけて
                    村山美恵子
  雪踏みて引きぬく太き大根にひび割れ走るかすかなる音
                    間 瑞枝


 大根の料理で私が好きなのは、大根と生の烏賊をブツ切にして、醤油、味醂、少量の砂糖そして乾燥唐辛子を入れて煮つけ、一晩おいて冷やしたものである。食べる時に、山椒の葉を少し加えるとよい。ご飯がいくらでも食べられる。