天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

光(4)

NHKテレビの画像から

 ニュートンは光を微粒子の流れと考えた。一方、ホイヘンスは波動ととらえた。二十世紀になり、アインシュタインは光量子仮説により、光は波動と粒子の二面性をもつことを明らかにした。この宇宙には、光よりも速度の早いものは無い、とされている。


  夕ひかり衰うる頃見えきたる波寄する国雲過ぐる国
                    永田和宏
  逝きしままたれも還りてこぬ地上 夕のひかりが野の
  面に充つ              志垣澄幸


  仰向きに死なむとしゐる油蝉をしづかに看取る夕日の
  ひかり               高野公彦


  いつせいに鴨の舞ひ立つ葦辺まで天つ光は降りそそぎゐる
                    大谷雅彦
  それよりは淡くなり得ぬ人かげのいくたりかなほ微光
  を放つ              有川美亀男


  水のあるほうに曲っていきやすい秋のひかりよ野紺菊咲く
                    吉川宏志
  さはやかな風と光に育まれ樹々は季節の貌となりゆく
                    篠原恒子
  刺すやうな光いきなり射るやうな光となりて河口に出でつ
                    香川ヒサ