天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

台風去って

円覚寺・龍隠庵にて

 立て続けに台風が来襲して雨模様の天気が続いたが、ここにきてやっと秋空が見えるようになった。
 足を鍛えないと心臓まで弱るというから、山野に出歩くことは重要である。千メートルを越える山に登るとなると日頃から相当の運動量をこなしておく必要があるので、そこまではやれていない。近くの里山や鎌倉の裏山を歩きまわることで我慢している。


     里山に一群落のとりかぶと
     道の辺に咲きてつつまし白嫁菜
     待つほどに満月出づる東山
     大木の銀杏まだらにもみづれる
     翡翠が水面うかがふ妙香池
     禅道場屋根に団栗落ちにけり
     浄智寺へ秋の日の斑の山路かな
     菊かをる俊基卿の古りし墓
     団栗の落下に怯む山路かな
     庭を掃く秋の日差の極楽寺


  鳥兜の毒は根にあり公園の山路近くにひとむれが咲く
  里山の路の辺に咲くトリカブト美しければ心冷えたり  
  俊基が首落とされし場所といふ葛原岡の花飾る石
  大仏の裏山道を驚かす木立を落つる団栗の音
  おほかたの桜もみぢは散り果てつ掃かれし後の白甃
  男石女石とふ石ならべ祠も建てて縁結びなる
  葛原岡鳥居のそばにいつの間に建てられてゐる合鎚稲荷