天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

時計(1)

漏刻のメカニズム

 時計の元は「漏刻」であった。これは口を設けた壺の中に水を入れてその漏出により時をはかる仕組みで、わが国では天智天皇の御代に漏刻を設置したことが日本書記に書かれている。昭和56年に奈良明日香村の水落遺跡から漏刻の遺跡が発掘された。右の図は、webの「時の記念日http://www.kodokei.com/la_011_3.htmlから引いた。


  呂うこくのほどもなくのみ漏りてよは手枕(たまくら)のまに
  あくるなつの以            小沢蘆庵


  午後一時の時計のおとを聞くころはしきりに眠し雪の降らくに
                     斎藤茂吉
  議長席のうしろの二個の大時計音なくて太き針を示しつ
                     西村陽吉
  柱時計の下にカレンダーを吊しおくこのしきたりの或日儚し
                    初井しづ枝
  鳩時計の鎖巻きあげて寝にゆきし子はねたるらし鳩の呆け声
                     森岡貞香
  明日へあるひは過去へ時計のねぢ巻くとわが指に夜の蕺薬
  (どくだみ)臭ふ            塚本邦雄