天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉を待つ

神奈川県二宮町にて

 テレビで山の観光地の紅葉を紹介し始めたが、平地の木々の紅葉は未だしである。二宮町の吾妻山でも例年見る紅葉には早い。鎌倉でも状況は同じ。近郊の山の散策の楽しみはもう少し日が経ってからになる。草花では、杜鵑や石蕗(つわぶき)の花が目立つ。


     秋ふかむ電車の床の朝光に
     秋鯵の開き干したり店の朝
     浜に坐し秋の潮騒飽かず聞く
     菜畑の草取る秋の日差かな
     山頂に子供等あそぶ赤とんぼ
     空港とふ言葉ゆかしよ赤蜻蛉


     
  実は熟し鳥のつどへる明け暮れの心足らへる庭の柿の木
  大島も伊豆半島も見えざりき台風去りてなほかすむ海
  高波に飲まれて失せし少年を探すボートが沖にちらばる
  山頂に遊べる子等の声聞こゆ吾妻神社の石蕗の花
  年暮れて菜の花の咲く山頂の畑は今し秋の草取り