天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

薔薇(1)

大船フラワーセンターにて

 神奈川県下の薔薇苑でよく行く所は、大船フラワーセンター、鎌倉文学館の庭園、港が見える丘公園、JR横須賀駅前のベルニー公園、生田緑地の薔薇園などである。国内外で多くの品種が生まれ個人名がついていたりするので、とても固有名は覚えられない。


  われに来る倖ひとつ待つごとくあかき薔薇の一束を買ふ
                  生方たつゑ
  みなづきは籬うづめて野茨(のばら)咲き祭太鼓の音
  遠近(をちこち)に         筏井嘉一


  薔薇ひらく慄へともなり生きゆかむなき母のため韻律
  のため              浜田 到


  抱きたる薔薇ひと束ともろともに少女炎(も)えたつ夜
  の車中に             久葉 尭


  冬バラは霜やけしままに凛と咲く咲かずばやまぬ怒り
  あるべし             首藤隆司


  みづからをおさへきれずにおもむろに伸ばしたる掌の
  先の冬薔薇            外塚 喬


  百万本の薔薇をくださいこれからはひとりで生きて
  いくのですから         江副壬曳子