天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

浜松城

浜松城にて

 以前に桜の花咲く頃の浜松城を紹介したことがあったが、そういう場所は秋の紅葉も見事なはず。というわけで再び訪れた。天守閣へ向う並木道の紅葉は見頃であった。ただ天守閣の周囲ではまだ色づきが足りないと思われた。天守閣の中では紹介ビデオで、三方ケ原の戦いを選んで見た。家康が三方ケ原で武田信玄に敗れ、浜松城に逃げ帰った話を講談師がしゃべるのだが、今まで知らなかったエピソードがあって面白かった。天守閣を出て傍の日本庭園を歩いた。


     電線を撓めて並ぶ稲雀
     かしましき声電線に稲すずめ
     淡雪にベージュの傘をひろげたり
     ひこばえの田から飛び立つ鴉かな
     天高しはるかに望む古戦場
     石蕗や銀明水の井戸といふ
     眼下にはもみぢの裾野天守
     紅葉の炎が迫る天守
     ふらここに子供遊ばす廓跡
     ふらここや爪先に蹴る天守


  紅葉の上に真白き天守閣去年には花の合間より見し
  湧く水を銀明水と名づけたり石蕗の花咲く井戸の石垣
  天守閣の最上階にのぼり来てはるかに望む三方ケ原を
  槍、刀、鉄砲、鎧展示せる天守閣なり紅葉の森
  信長に援軍乞へど信玄と戦ふ無謀を諌められしとふ
  鶴翼の陣に向かへど信玄の軍に敗れし三方ケ原に
  あかあかと松明を焚き門すべて開け放ち待つ武田の軍を
  はかりごとのあるを疑ひ引き返す三方ケ原に勝ちし信玄
  地下に行く急な階段見えてをり井戸ありといふ壁の貼紙