天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

牛(3)

NHK

 乳用種について。一般に骨が細く痩せているが、乳房は大きく、乳量が多い。ホルスタイン種、ジャージー種、ガーンジー種などが代表的。


  産み月に入りし若牛立ちながら涙溜めいること多くなる
                    清原日出夫
  水牛の黒きぬめりもうごきそむ国境近き陽のかたまりに
                     森岡貞香
  種付のかなしきさまを凝視られつつ徐かに首をふりをり牛は
                     三國玲子
  孕みつつ屠らるる番待つ牛にわれは呼吸を合はせてゐたり
                     寺山修司
  頸(くび)たれて白き息はく朝の牛聖なるもののごとく歩める
                     江畑耕作
  落日に草原の草かがやけば朱の塊となる乳牛は
                    真鍋美恵子