天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

たらの芽

たらの芽てんぷら(わが食卓から)

 たらの木は山野にはえウコギ科の落葉低木で、高さは4mくらい。木の先端に出る若芽がたらの芽である。山菜の王として珍重され、天麩羅や和え物などにして食べる。


     たらの芽や落石岨を塞ぎをり    中村四峰
     客あればたらの芽かきに妻走る   堤俳一佳
     多羅の芽を食べ月山を志す     兒玉南草


  春闌けし山峡の湯にしづ籠りたらの芽食(お)しつつひとを思はず
                      斎藤茂吉
  わづかなる土のよろこび枝たわめ年の一度のたらの芽をもぐ
                     小市巳世司  
  春浅き山よりきたりたらの芽をくれてゆきたる人を忘れず
                      岡野弘彦
  奥多摩の山に採(つ)みけむたらの芽をわれは食ひけり三夜さ
  つづけて                玉城 徹


  すでにして土地の訛にものを言ふ子と山径にたらの芽を採る
                      柏崎驍二
  たら山のたらの木林のたらの芽がみなこつち向きどんつくどんつく
                      河野裕子