天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

麦(1)

横浜市東俣野の田園にて

 小麦・大麦は古く中国から渡来し、ライ麦燕麦は明治以後に欧米からもたらされた。小麦は西アジア新石器時代の遺跡から発見されている。大麦は古代エジプトメソポタミアの遺跡などから発見された。種類によって、パン、醤油、味噌、うどん、ビール、ウィスキーなどの原料になる。


  夏きたる信濃は麦の走り穂に一列しろき雪の山並
                   太田水穂
  何となく大麦の穂のなつかしく銭(ぜに)をいだして
  買ひにけるかも          今井邦子


  朝焼けし雲片寄りて麦を刈る吾等はなやぐごとくゐたりき
                   板宮清治
  麦になれ麦になれとぞ麦を播く冬の大地は母のふところ
                   築地正子
  青麦の穂をなびかせて吹く風を眼ほそめてわれは見てゐつ
                   来嶋靖生
  月光に濡れてとどろくコンバイン小麦十町歩穫り終りたり
                   時田則雄
  満載の麦を運びてきしおまへ白き犬歯を見せつつ笑ふ
                   時田則雄