天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ミイラ

NHK-BS放映画像から

 「ミイラ」はポルトガル語mirraで、漢字では木乃伊を当てる。人為的加工ないし自然条件によって乾燥され、長期間原型を留めている死体のことである。死後、身体の腐敗が進行するよりも早く急激な乾燥が起きると、細菌の活動が弱まる。脱水症状などの条件から死体の水分含有量が少ない場合にはミイラ化しやすい。


  満身の静脈透けて樹もわれも木乃伊とならむ結氷期なり
                      春日井建
  発掘されしミイラのめをと笑みかはす黄金の日を過ぎきし
  ならん                浜田蝶二郎


  凍結を保つ冷気に霜光るミイラ「フワニータ」の肌に衣服に
                      今泉 操
  シナモンはミイラに振りし香りとぞつんと胸突き何か忘れぬ
                     梅内美華子
  生きの日に何見しならむエジプトのミイラ眼窩に濃き闇をたむ
                      朝井恭子
  ミイラにても屍蝋(ロウ)ともあれ君と共に我極まる日まで
  共にありたし             清水五百子


 右上の画像は、ツカンカーメンのミイラで、NHK-BSテレビ放映から撮ったもの。エジプトでは、ツタンカーメンの父と母が、ミイラのDNA検査から判明したという。