天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

 麦(2)

横浜市東俣野の田園にて

 コムギおよびオオムギの3変種(カワムギ、ハダカムギ、ビールムギ)を四麦(よんばく)と呼ぶ。コムギ、カワムギ、ハダカムギを三麦と呼ぶ場合もある。


  土色に熟れし麦の上わづかなる輝きもちて鱗雲あり
                   黒田淑子
  帰るとは幻ならむ麦の香の熟るる谷間にいくたびか問ふ
                   前登志夫
  熟れ麦の穂をくぼめつつ風の吹けば起伏ははやし
  わが生よりも           米田 登


  水風呂にみずみちたればとっぷりとくれてうたえる
  ただ麦畑             村木道彦


  麦束を抱けば一日日に照りし麦あたたかく匂を放つ
                   原田 清
  いとけなき麦生のみどりうるほひて畦の北がはは雪
  のこりたり           上田三四二


  一粒の麦こぼれたる野に生ひて霜のあしたの禾(のぎ)
  光るなり             北沢郁子