天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

竹の歌(4)

鎌倉・報国寺にて

 日本では松・梅と並んで縁起のよい植物とされ、松竹梅をセットとしてさまざまな場面で使われている。竹を使った慣用句もある。雨後の筍、竹を割ったような性格、破竹の勢い など。


  幹青き青年の竹はみづみづし触れたる掌あととどむるまでに
                     宮 英子
  青竹は根方に去年の皮反らし一月の空にさはさはあそぶ
                     若杉文子
  竹と竹博ちあふ音はいまさらに激しき生をわれに促(うなが)す
                     雨宮雅子
  一本の竹を切らんと竹仰ぐ選りがたきこの直ぐなるものら
                     池本一郎
  竹(たか)叢(むら)に淡く日の射す寺の庭思はぬ方に添水
  (そふづ)の音す            神作光一


  伐られたる孟宗竹が横たはるこの重さにて空にそよぎゐし
                     志垣澄幸