天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

竹の歌(5)

鎌倉・報国寺にて

 竹の害もある。かつて筍を採るために栽培されていた孟宗竹の竹林が放置された結果、周囲の植生に孟宗竹が無秩序に侵入する。近世に日本に移入された外来植物である孟宗竹は、1950年代頃までは木材や筍を得るために管理された竹林にて栽培されていた。竹林の周囲は深さ1メートル程度の空堀を掘り巡らすなどの対策がなされていた。しかし輸入品の筍が出回って筍栽培が経済的に成立しなくなり、竹材の需要も減少すると、各地の竹林は管理されなくなっていったのである。
(参照:竹 - Wikipedia
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E5%AE%B3


  父や祖父がやたらに笑いぞわっぞわっ竹藪が進軍して
  いる窓辺               渡辺松男


  かさらぎの風に群竹ふれ合えば漕ぎ手の見えぬ櫓の音
  ぞする               中川佐和子


  竹の皮ずんずん脱いでゆくごとく娘等はみな足長くなり
                     小塩卓哉
  谷側に傾き竹は乱立し老いたる幹は雪に折れ伏す
                     津川洋三
  朝の日に傾き伸ぶる若竹の皮を脱ぎたりためらひを脱ぐ
                    春日真木子
  吹き飛びし紙幣探しにゆきし人姫竹の子を折りて戻り来
                    安立スハル
  雨後の風孕みし竹林見上ぐれば一滴びしり 面を取らるる
                     田口玲子