天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

稲妻(5)

BS朝日の放映画像から

 俳諧に詠まれた江戸時代の例をいくつかご紹介しよう。


     稲妻を手にとる闇の紙燭かな     芭蕉
     あの雲は稲妻を待つたより哉     芭蕉
     いなづまやきのふは東けふは西    其角
     稲妻のかきまぜて行く闇夜かな    去来
     いなづまや堅田泊りの宵の空     蕪村


正岡子規は、生涯に百句余りの稲妻の俳句を詠んでいる。以下に10句をあげる。


     稲妻にひらりと桐の一葉哉       (明治23年
     稲妻に行きあたりたる闇夜哉      (明治24年
     稲妻に目たゝきしたる坐頭哉      (明治25年
     稲妻に人見かけたる野道哉       (明治26年
     稲妻に見ゆるかとぞ思ふ海の底     (明治27年
     稲妻にすわやと投げる碇かな      (明治28年
     稲妻に屏風をかこふ遊女かな      (明治29年
     稲妻のすわといふまもあらはこそ    (明治30年
     稲妻の遠くに光る花火哉        (明治31年
     稲妻や一本杉の右左          (明治32年