天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

化石

テレビ映像の画面から

 化石は、過去の生物の遺骸や遺跡が、地層の中から発見されたもの。化石から知られる生物のことを古生物という。遺跡化石として有名なものに、タンザニアで発見された、360万年前のアウストラロピテクスの足跡がある。親子が並んで二足歩行している状態のもの。


  靴底のごとき臼歯をきつかけに象の化石は湖中より出づ
                   川島喜代詩
  一億年経て光沢保(つやも)てる貝化石かなしみのごと
  掌(たなぞこ)に載す        結城千賀子


  エルンストの緑の月の昇りゆき都市はしづかに化石し
  はじむる             小山朱鷺子


  山峡をゆられて走る列車にていつしか化石となりてゆく顔
                    藤岡武雄
  手のひらに受ける化石のしづもりよユラ紀の未来といふを
  預かる               紺野万理


  小さき手をひらきて示す化石あり姿滅びぬ千年あわれ
                    三枝繡之