天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

豆腐(2)

わが身辺から

 豆腐は木綿豆腐、ソフト豆腐、絹ごし豆腐、充填豆腐の4種に大別される。ところで堅豆腐(かたとうふ)は、現在の日本で一般的となっている製法と異なり、濃度の高い豆乳を使ったり、にがりの代わりに海水を使うなど、さまざまな方法を用いて保存できるようにした種類の豆腐のこと。荒縄で縛って持ち運びできるほど堅いものもある。


  理不尽な人の言葉に乱されて手づかみで潰す豆腐冷たき
                   小川亜紀子
  死に向きていつまで余すわたくしのドレミファソラシド
  豆腐切りけり            河野愛子


  井戸水を引きて湛へしいろ澄みて冷たき槽に豆腐かさなる
                    増村忠夫
  雪ふれば 豆腐喰ひたくなるふしぎ 黒川能のまつり近づく
                    岡野弘彦
  早春の朝のまちかど豆腐屋の掬う豆腐の雫かがやく
                   恒成美代子
  虚(そら)にみつ雪ぞとよびてみちのくのこころはかなし
  豆腐祭りす            馬場あき子