天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

多摩川紀行―登戸の「のんきや」

多摩川・のんきや

 多摩水道橋の下流岸辺に「のんきや」という貸しボート屋がある。以前にNHKの新日本風土記で紹介された。その時もボートを借りる客はほとんどいない、という話であったが、今日も客の姿はなかった。川面には小魚が飛びはね、それを狙ってカモメが飛び込んでいたが、魚の種類は分らなかった。


     魚跳ねてカモメ飛び込む秋の川
     母が子に指差す猫の日向ぼこ
     フリスビーを飛ばす河原の芒かな


  冠雪の富士はるかなる多摩川に今日も浮かべるのんきやの舟
  のんきやの舟はボートの発着場ボート繋ぎて人影を見ず
  外来の魚も獲るらむ多摩川の中洲に棲める白鷺の群
  少女らがカメラかまへてはしやぎゐる河原にあまた芒そよげり