天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鳶(1)

NHKテレビの放映画面から

 鳥類の鳶については、2008年の3月1日と4月15日にとり上げているが、以下の3回では重複しない作品である。
 すでに書いたことだが、トビはタカ目タカ科に属する鳥で、日本の日常生活でよく見かける猛禽類である。「トンビがくるりと輪を描いた」と流行歌に唄われたように、羽ばたくいことなく上昇気流に乗って輪を描きながら上空へ上がってゆく。


  とびからすとぐらとやせんかねてよりわが身のえだも
  おそろしきかな           拾玉集・慈円


  一うねの青葉の花の咲き満つる小庭(さには)の空に鳶
  舞ふ春日                正岡子規


  港町
  とろろと鳴きて輪を描く鳶を圧せる
  潮ぐもりかな              石川啄木


  高空に集まる鳶稍色ある暁の雲動きはじめて
                      小暮政次
  何か見つめ急降下なす鳶の姿態ひき緊り翼の先の
  とがれる               佐佐木由幾


  韻とも鳶鳴く空の日曇おほき一羽の海にくだりく
                      千代国一
  氷湖の雪巻き上げて吹く疾風に流されて舞うとびは
  鳴きつつ                武川忠一