天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

氷河(1)

BBC地球伝説の放映画像から

 氷河は、山の渓谷に、何年にもわたって氷が堆積し、万年雪が圧縮されることでできる。重力や氷の重さによる圧力で流動する。陸上の氷河は、陸地面積の約11%にもなるという。氷河は、山岳氷河と大陸氷河の二種類に分類される。山岳氷河の温度は一年を通して氷の融点付近にあり、一方の大陸氷河は、水の昇華冷却により氷点下にあって融解することがない。


  いのちあるあひだ人には遊びありたとへば今日は氷河
  を歩む               佐藤佐太郎


  雪山をいでて清き川氷河よりいでて濁る川高原の中
                    佐藤佐太郎
  乱反射まばゆき氷河越えきたりヘリコプター青き谷へ
  下りゆく               木下孝一


  氷河より吹きくる風音氷河より出づる水音荒々しけれ
                     戸田佳子
  ラーゲルをめぐれる氷河五月くればみどりの水をたたえて
  おどる                森川平八


  慌しく登りてくだるユングフラウついに氷河に飛ぶ鳥を見ず
                     高安国世
  すさまじき氷河の爪のあとも見つ生きてはるばると来れる
  旅に                 木俣 修


  われらウェイトトレーニングする日曜日はるかなる氷河に
  遺体がねむる             渡辺松男