天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

自転車(1/10)

足蹴り式の二輪車

 自転車の歴史を調べてみた。その原点は、子供の木馬を足で蹴って進むように工夫した玩具にあったらしい。最初の自転車として公認されているものは、木製のベロシフェールにハンドルを取り付け、走りながら曲げられる足蹴り式の二輪車で、1813年、ドイツのカール・フォン・ドライス男爵の発明による。


  広場すべて速度と変る一瞬をゆらゆらと錯覚の如く自転車
                   高安国世
  自転車の仰向けに投げ出されいて錆浮きはじむ冬に入る日々
                   高安国世
  自転車に囮籠載せ少年は人混み縫ひて冬山へ行く
                   宮 柊二
  分身の如き思ひに近づきぬ夜の駅前われの自転車
                   奥村晃作
  風いでて波止(はと)の自転車倒れゆけりかなたまばゆき
  速吸(はやすひ)の海        高野公彦


  街川に自転車いくつ水漬(みづ)きをり死ぬには永き歳月が要る
                   高野公彦
  白き霧ながるる夜の草の園に自転車はほそきつばさ濡れたり
                   高野公彦


[注]以降の自転車の歴史は、日本自転車文化のホームページ
   http://www.jba-rw.org/topics/aboutbicycle_histry_1.html
を参照している。