天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

氷河(2)

BBC地球伝説の放映画像から

 日本にも氷河があると認定されたのは、つい最近のこと。2012年4月に日本雪氷学会剱岳の三ノ窓雪渓と小窓雪渓、立山の御前沢雪渓に氷河が現存している可能性を報告し、同年6月にそれぞれ「三ノ窓氷河」「小窓氷河」「御前沢氷河」と呼ぶことに決まったのである。


  氷河なほしろく凍(こご)れる山嶺(さんれい)を。草もゆる
  地(くに)の遠空に見る         石原 純


  モンブラン氷河に對へば碧空のしぶきは絶えずわが顔に吹く
                    窪田章一郎
  森林の限界こゆれば草原(さうげん)地帯起伏の果てに氷河
  真白し               窪田章一郎


  パミールに深く入りきて氷河湖の岸辺に天幕(テント)を
  張らむとするも            宮 英子


  風わたる氷河湖ありて水面を雁翔(がんた)ちゆけり五、
  六羽なれど              宮 英子


  ロープウェー乗りつぎ登りアルプスの氷河見下ろす足もと
  さむく                宮岡 昇


  氷河より出づる流(ながれ)の激(たぎ)つ音夕べの谷の村に
  こだます               鈴木真澄


  アポロ蝶いづくに翅を休むるか氷河の上を軽がると飛ぶ
                     雁部貞夫