天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ボート(2)

ボート競技

 ボートは古代より交通や戦争の手段に使われてきた。スポーツにもとり入れられた。紀元前のエジプトの碑文によると、アメンホテプ2世はボート選手として有名であったというから愉快。ボート競技の種目には、大きく分けて二種類ある。大きいオールを一人一本持って漕ぐスウィープ種目と、小さいオールを一人二本持って漕ぐスカル種目である。


  青みどろ浮く泥水もしたわれて都心の堀に貸ボートあり
                    武川忠一
  青きボート赤きボートの寄り添ひて夜の川面にちぐはぐ
  に揺る               安田純生


  孤立さへ欲望としてうべなはむ闇を乱してボートが航けり
                     篠 弘
  ゴムボートに波を楽しむ数人を見ていて次第にゆううつ
  となる               大島史洋


  煩悩の心のままにのるボート毘沙門沼にしばしただよう
                    新川克之
  さかしまの樹の静けさを泡だてん空漕ぐごとくオール
  を握る               木村恵子