日本では平安時代に木履(ぼくり)が上流階級で履かれたが、束帯、衣冠、直衣などの着用に際してこれが用いられた。桐の木をくりぬき、黒漆を塗ったものであった。
喪のような空に帽子を投げつけて恋うるニコライ・
スタヴローギン 古明地実
いま脱ぎて置かれしごとく軟らかしケースのなかの
中也の帽子 中西輝磨
風に飛ぶ帽子よここで待つことを伝へてよ杳(とほ)き
少女のわれに 小島ゆかり
なぜここで靴を揃へる 玄関が深い谷間にえくる今日は
日高尭子
客の靴揃へて出で来しばしの間座をはづすのも仕事のひとつ
鶴岡美代子
あらかじめ決めし詞に謝りおり革靴の尖(さき)黒く見えつつ
吉川宏志